緋色の7年間

制約を原動力に。法律事務所の弁護士と大手企業の法務担当者が、時に制約と闘い、時に制約を迂回していきます。

法律情報のフィルタリング的な何か

本日のテーマは、混沌とした法律情報のフィルタリングの仕方です。

読者層的に、このブログで言っても仕方ないような気もするんですが。

【フィルタリング方法】①から順にフィルタリングする。

  1. 条文・判例が引用されていること
  2. 文献が引用されていること
  3. 注釈・参考文献・引用表記が正確であること
  4. 文献が取捨選択されていること

①については、さしあたり「しろうと」かどうかを判別できる基準です。特に複数の法律、複数の条文、複数の判例を括弧書で正確に引用するというのは、一度も法学を扱ったことがないとできません。よくあるダメなパターンが条文や判例をひとつだけ引用して文言にあてはまるから云々という解釈と呼びえない解釈を展開するケースですが、こういった情報をがんがん切れます(このブログの一部記事も切られるんですけどね)

②については、文献が引用されていると「とりあえず少しは調べたんだな」くらいはわかります(この記事全然調べてないけどね)。本を読める人(読もうとする人)だということと、情報の発信に一定の時間をかけているということが推認できますので、わざわざフェイクを流すようなことを意図的に行うおそれは低下するものと考えられます。もちろん、意図しないミスなどはあるかもしれませんが。本人の確証バイアスもありますが。

③が正確だと、まじめに勉強してきた人かどうかわかります。法学部生・法科大学院生の大半は、残念ながらここで落ちます。一応、業界として統一基準みたいなのは出されていますが(法教育支援センター「法律文献等の出典の表示方法」(平成26年)参照)、書き方によってどこの畑の人かわかる程度には(いやわからないか)統一されていないのが現状です。それと、学術的な記載と裁判例での記載とでちょっと表記の仕方が異なったりしますかね……

④について、これはわかる人にしかわからないことですが、引用文献・参考文献の取捨選択の仕方で実力が露骨にわかります(全然基準になってない)。実力というか個性というか。何も疑問を持たずに規範を暗記して吐き出してきたタイプの「試験に強い人」に特に多いことですが、とりあえず基本書や論文を片っ端から引いている、みたいなことをやっていると、当該領域をよくわかっていないことが推認されます。脚注を見ればよく分かる。自分で文献内容の重要性を判断できるほど精通していないと考えられるわけです。よくある疑問としては、「ああ、この人、一部しか読んでないな」とか、「なんでこの文献が引かれているのかな」とか。翻って、自分で書くときに恐怖です。こわいよこわいよー

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