緋色の7年間

制約を原動力に。法律事務所の弁護士と大手企業の法務担当者が、時に制約と闘い、時に制約を迂回していきます。

『エクササイズ刑事訴訟法』の感想

今回は、刑事訴訟法の事例演習本である『エクササイズ刑事訴訟法』の紹介です。書いてる人は検察官で、昨年まで司法試験考査委員だったみたいです。

エクササイズ刑事訴訟法

エクササイズ刑事訴訟法

 

本書には、刑事訴訟法領域の事例演習問題全16問とその解説が掲載されています。

一応、全部の問題につき答案構成をしてみて、解説に目を通しました。索引まで含めて全163頁とかなり薄いです(お値段も1800円税別です)が、学者による解説と異なり、規範~あてはめまですっきり書いてあります。まったくと言ってよいほど文章に無駄がありません。むしろ問題解説としては若干少ないくらいです。当然と言えば当然ですが、判例重視です。しかし、検察実務べったりというわけではなく、どちらかというと謙虚さから理論には深くつっこまないというスタンスです。引用文献は、基本的には、酒巻、リークエ、争点、古江演習、百選という学生の手持ちの最大公約数的な書籍にとどめてあるみたいです。そういう意味では、理解を深めたい箇所を復習しやすいかもしれません。

問題の形式は、ほぼ司法試験と同じです。長文の事例問題があって、別紙に資料が付いていて、設問が2~3個あります。設問は、司法試験よりもぼかした大雑把な聞き方になっています。問題のレベル的には、司法試験の問題よりも気持ち法律的な論点を控えめにして、代わりに「捜査①」「逮捕①」みたいな下線の誘導をなくしてあるかんじです。そういう意味では、司法試験よりも実務的な事案に近いというイメージです。

こんなかんじでした。

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